2013-01-01から1年間の記事一覧
スパゲッティ もぐもぐ もぐもぐ形而上の彼女 探し求めた10年間 徒労と過労 くたくた 眼はしょぼしょぼ懸想するは温泉街 がらんどうの湯 東京ドームみたいに広いお湯 日本酒 一杯 ぐびり、現実へ!
小高い山 わたしの原点 旋回する鳥たち 落ち葉のぬかるみ 分け入っても分け入っても 黒い地面小高い山 なみだ雨 降り続く青い雨 悲しい空 掌握した世界 思春期の山 それが鬼のすみか僕の育った山 鬼も育った山 中途半端に鬼となった大人たち 彼らが うろちょ…
血のイメージなんてくそくらえだ 死のイメージなんてくそくらえだ 水のイメージなんて くそくらえだぼくにはなんにもありません ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう なんにもないなんにもないなんにもなんにもなんにも
スパゲッティ 喰いながら泣いて 泣きながら喰うしかしわたしは生きていかなければならない 生きて妄想と添い遂げ 形而上の「彼女」のもとへ――
スパゲッティ 食う 食う トマトをまぶして ウインナーぽとぽとスパゲッティ 食って食って 眼になみだ一筋帰りたい……。
満天の祝日の青空のもと 広げて読む坂口安吾こそを 無上のものと思うもう僕には読書しかない ほかには何もない 僕には読むことしかありません満天の青空の祝日 T公園の一角で 僕と安吾と随筆がぱぁっとはじける
山の中 ぎしぎし ぎしぎし 分け入る 分け入る地面に ぬかるみが ぎっしり 落ち葉が どっさりふと春の匂い
湧き出る 社会性は 夜露みたくはかないいつか見た 温泉街ないまぜになって ないまぜになって社会と隔絶された風景温泉街 テレビシティ 温泉街 テレビシティあぁ!僕のかたわらには 草野心平 あぁ
本棚に アリストテレスと ロールズが 隣同士で 仲良し
社会性 アリストテレス 和辻哲郎 西田幾多郎 かわりばんこで なかよし
ブラームスの レコード 交響曲1番 カラヤン? 誰だったろうか 右手には 岩波文庫 浮き立つ 社会性は あぶく銭
朝の ブラームス 交響曲ナンバーワン カラヤン 響き渡り 世界は からっぽ
あの 砂糖菓子を 手に入れた 日々 ケーキの 甘い香りがらんどうの世界
18歳のころ 授業をさぼって 大学ノートに書きつけた言葉だけ 思い返すいま ペンを持つ手がかじかみ ぼくは24歳のみなしご 天沢退二郎は冬枯れ 甘い蜜のおかげで どうにか こうにか 言葉を書き記している
枯れる木々 汚れたテーブル 甘い蜜のカフェイン ペンを持つ手が 痛んで
冬枯れの依存と風景冬枯れの 依存と 風景と 客観視した「わたし」に 口づけを!
冬枯れの天沢退二郎 ポケットに入りきらない詩集四冊目の詩集 それは三冊目と わけが違う
燃えさかる 首都機能 背には 文化都市 立ち向かうは 首都機能突き抜ける 国道1号 やってきた首都機能 ようやっと駆動する僕
散文を 散文を 描写を 意志を 体験を 生活を 文学を この手に!
悲しい日には 悲しい音楽と 悲しい文学を
ただの言葉遊びは 詩ではない ならば詩とは 言葉の何なのか わからない僕は24歳になったよ 読書がわかりかけてきたよ 芸術が 文学が 哲学が 知性がでも詩は書けないよ
ここではないどこか どこかではないここ いたちごっこは続く……旅がしたいという意志を たたえたまま僕は永遠のごとく寝ころぶ ワンルームの部屋 LEDが爆ぜる 競馬中継の音 自意識の染みついた布団に 枕 頭をうずめて朝が語りかける 昼が語りかける 夜が拒…
感性を 捨て置き 知性を 捨て置き からっぽ空疎と 空虚は 似て非なるもの
経験を経験し 経験の経験を経験し 経験の経験の経験を経験し……そんな想念が 頭の中をかけめぐり 僕は僕が育った地方都市の 真只中西脇順三郎を読んだ 高村光太郎を読んだ だからどうした 僕は迷い子 二四歳の迷い子
幾重にも 折り重なった 商店街その商店街の群れが 死にかけで ざわざわ ざわざわ 死者としての 商店街の声をここは確かに 僕の育った都市 交差点と 公会堂と 高島屋だけが ぎらぎら ちらちら ゆらゆらしがない地方都市の交差点
からっぽの 商店街死んだ本屋 死にかけの喫茶店 生まれたての古着屋踏みしめる 商店街の コンクリート流れるポップスも しなびて なしのつぶてここが僕の育った「都市」
言葉と 風景が 爆ぜる白い山並み ぼくの生きた町 そしてぼくがもう生きない町 死んだ午後のバス通り ロータリーには 老人が立ちすくみ鬼のすみかは何処へやら 鬼も大人ももうおらず 社会がなく 世間も成り立たず 白い稜線だけが 空っぽの駅前広場を見守って…
ここがぼくの生きる街 そこはぼくが捨てた町 そこはぼくが生きた町 ここはぼくが果てる街
僕の生まれた町は 鬼のすみか 民度の低い町 青い顔をした 大人たちが 老人たちが ゆらゆら駅前に 亡霊が闊歩し まるで猫町 透明な鬼の群れが 渡り歩く駅前道路その駅前ロータリーには 音楽すら響かずに 小学生と 中学生だけが ぶらぶら しどけない空 しどけ…
請求書が爆ぜる