2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

無人駅

中国山地の 蒜山に近い とある 山中の 無人駅孤独な プラットホーム 右も左も山の緑ふと 眼下の道路に 仲睦まじき中学生たち 25を過ぎた僕は 煙草を吸いたくなる

季節外れの蛍が 春をめがけて ゆらゆら ゆらゆら雪に蛍は似あわねど ほら 鉛色の喫茶店のテラスに 白い蛍が ゆらり、ゆらりと 冬枯れのダンスを落ち葉と蛍が 重なり合って 重なり合って 幻想の夜を演出する夢か? いや、 正夢、 冬に蛍は似あわねど これは、…

僕は24歳

僕は24歳 老いた 春の匂いが 鼻に響かない……。こころはもはや老人 若くない背中を 街頭に晒して人生の折り返しはもう過ぎた せめて人間50年 命の春を通り越し 残りの季節どう歩く?雑踏けぶる新年の 如月の朝あやしげに 24歳の冬枯れを 身体すべてに背…

餘部鉄橋

餘部鉄橋 山陰本線が どごーっ餘部鉄橋 夜になると 光と 夢と 死が 明後日の方向まで ひとっとび山陰の夜空に 死んでいった夢の光が 永遠に突き抜ける……。

魂と 心を 取り違え 幾年俺は俺の魂を観れるか 心は観れても魂は観れるか? 俺が俺であること 魂が俺であること魂が俺であること 魂が魂であること 俺の魂は燃えているか 弓ヶ浜に希望を響かせているか

萩原

朔太郎 恭次郎 朔太郎 恭次郎 朔太郎 恭次郎 朔太郎 恭次郎 朔太郎恭次郎 朔太郎恭次郎 日比谷 交差点 信号 男色の昼辺

弓ヶ浜の夜

弓ヶ浜の夜 細長い半島の夜 妖怪たちの行列 提灯が ぎらぎらぎらぎらの灯りが 砂に反射して 砂絵を描いているあの妖怪たち 何だろう正体は まるで異国から来た妖精みたいに――

気動車

汽車でなく気動車 ディーゼル・トレイン 山陰の浜辺を ひとっとび!飛ばす気動車 ディーゼル・エクスプレス 浦富海岸を バッキューン!白ウサギも 蒸気に惹かれ 隠岐の島まで ひとっとび。

「猫と犬」

青い猫 赤い犬赤い猫 青い犬かわりばんこで なかよしいたちごっこ いたちごっこかわりばんこに おいかけっこ猫と犬 犬と猫犬と猫 猫と犬ああ 冬毛が生えた12月 冬毛の生えた犬と猫 春の香りは 遠からじ……。

拾遺5「天下のごとく」

夕枯れ 冬枯れ 小高い山 ぬかるみ 地面を 蹴りあげ 天下のごとく 朔太郎を 蹴りあげ!

拾遺4「桜の季節」

本のことで頭がいっぱいな 夕枯れのやがて来る春を待つわたし 窓には ほんのり、 桜の気配 そういえば、 不意に聞こえてきた フジファブリックが奏でた 『桜の季節』……。

拾遺3「輪廻f」

朔太郎 プラトン バイロン シェリー ゾラ 三好達治 それらが ぐ〜るぐる

拾遺2「うっとり うたたね」

春の匂いがしたと思えばまた冬 冬枯れの地面・街路 T公園にこだまする 快活な少年少女 僕は安吾全集片手に うっとり うたたね

拾遺1「地道に」

地道に生きたい 地道に点を稼ぎたい そう思い始めひと月 冬枯れももうすぐ最後 かたわらに朔太郎 春の匂いがゆらゆら 地道に生きて あの、あれほど、 過剰に意識していた、 爆発力や、 破壊力を、 打ちやって みなぎる春! みなぎる秋! 嗚呼!

無題8

冬枯れの文化都市一号! 熱射病の産業都市二号! 甘納豆の農林都市三号! せわしき経済都市四号! 大車輪の工業都市五号! 夢遊病の娯楽都市六号! 秋晴れの温泉都市七号! 朝勃ちの学園都市八号! ぐ〜るぐ〜る ぐ〜るぐ〜る ちらちら? ちらちら? あぱぱ…

無題7

ケチャップスパゲッチもぐもぐ それさえあれば何もいらない美味 うまいうまい うまいうまい 本当にうまいなあ!感傷的な冬の夜 傍らの朔太郎が いじめる 僕を い・じ・め・る朔太郎 シェリー ワーズワース 嗚呼!

無題6

スパゲッティ もぐもぐ もぐもぐ形而上の彼女 探し求めた10年間 徒労と過労 くたくた 眼はしょぼしょぼ懸想するは温泉街 がらんどうの湯 東京ドームみたいに広いお湯 日本酒 一杯 ぐびり、現実へ!

無題5

小高い山 わたしの原点 旋回する鳥たち 落ち葉のぬかるみ 分け入っても分け入っても 黒い地面小高い山 なみだ雨 降り続く青い雨 悲しい空 掌握した世界 思春期の山 それが鬼のすみか僕の育った山 鬼も育った山 中途半端に鬼となった大人たち 彼らが うろちょ…

無題4

血のイメージなんてくそくらえだ 死のイメージなんてくそくらえだ 水のイメージなんて くそくらえだぼくにはなんにもありません ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう なんにもないなんにもないなんにもなんにもなんにも

無題3-2

スパゲッティ 喰いながら泣いて 泣きながら喰うしかしわたしは生きていかなければならない 生きて妄想と添い遂げ 形而上の「彼女」のもとへ――

無題3

スパゲッティ 食う 食う トマトをまぶして ウインナーぽとぽとスパゲッティ 食って食って 眼になみだ一筋帰りたい……。

無題2

満天の祝日の青空のもと 広げて読む坂口安吾こそを 無上のものと思うもう僕には読書しかない ほかには何もない 僕には読むことしかありません満天の青空の祝日 T公園の一角で 僕と安吾と随筆がぱぁっとはじける

無題

山の中 ぎしぎし ぎしぎし 分け入る 分け入る地面に ぬかるみが ぎっしり 落ち葉が どっさりふと春の匂い

無題4

湧き出る 社会性は 夜露みたくはかないいつか見た 温泉街ないまぜになって ないまぜになって社会と隔絶された風景温泉街 テレビシティ 温泉街 テレビシティあぁ!僕のかたわらには 草野心平 あぁ

無題3b

本棚に アリストテレスと ロールズが 隣同士で 仲良し

無題3a

社会性 アリストテレス 和辻哲郎 西田幾多郎 かわりばんこで なかよし

無題2b

ブラームスの レコード 交響曲1番 カラヤン? 誰だったろうか 右手には 岩波文庫 浮き立つ 社会性は あぶく銭

無題2a

朝の ブラームス 交響曲ナンバーワン カラヤン 響き渡り 世界は からっぽ

無題

あの 砂糖菓子を 手に入れた 日々 ケーキの 甘い香りがらんどうの世界

無題6

18歳のころ 授業をさぼって 大学ノートに書きつけた言葉だけ 思い返すいま ペンを持つ手がかじかみ ぼくは24歳のみなしご 天沢退二郎は冬枯れ 甘い蜜のおかげで どうにか こうにか 言葉を書き記している