新つつじ通り 元気ですか

 こどもじだいの汚らわしいポルカだけ踊り続ける醜悪な新つつじ通りタウン、そこを次々と通過していく最終講義通り抜けたお兄ちゃんお姉ちゃんがた、それを撲殺する構成された幻影、自我は自我であり他者であるが、新つつじ通りタウンの新つつじ通りにハイデガーがこだまする

 高橋新吉がひたすら麦をついばんでいるみたいな郊外の田園都市に急き立てられる風景と殺意、隠された殺意だけはああダダだハイデガーブルトンとアナルセックス、そんな稲とスギ花粉の存在証明、語りたがりは書きたがり

 比べたがりのエマニュエルをカントだとはいっていない、いつか読んだ3年待てば消えていく大衆小説が弾薬を打ち過ぎる、そんな卑俗で素朴ではないチンチンタウン、ここは新つつじ通りタウン、まんが・アニメ的リアリズムしたまんが・アニメ的リアリズム、急き立てる映画館、おきなわに捨てられたチチオヤ

 九段下に巻き起こる隠された悪意、ひとの悪意を否定するああ恐ろしい若い女、彼女はひとの悪意否定することで善意すらも滅殺する、ああ僕は自らのために書く、立ち止まらず自らのために
 
 滝のように流れだすことばに鈴がなる、そんな新つつじ通りタウンのつつじヶ丘に大量に咲き誇る政治桜、生中継のチャンネル桜が12個のテレビ画面に同時にうつされ、ダ・ダ 小さく膨らんだ乳房だけが赤いTシャツから認識のとりで、僕は女子中学生、そして日本文化チャンネル

 日本文化センター反革命アニメーションが大学翻訳センターとスーパー世界大戦、それだけがジュニアブラジャーの通販をトマトジュースで塗りつぶし、僕はロリコンだ、俺はロリコンだ、わたしはロリコンだ、DA・DA 胸の膨らんだ少女がセルリアンブルーのドレス、メロンジュースとマンゴジュースをハワイアンサイダーで真っ青にしたみたいなああセルリアンブルー、そんな衣装をまるで秋葉原で青姦されるアイドル? みたいなおめかしして月に飛ぶ

 そんなギャンブルみたいな新つつじ通り政治タウン・兼・音楽の街新つつじ通り・兼・場外馬券売り場「ほこさき」 お姉ちゃんお兄ちゃんがたはすっかり最終回で背が高くて二次性徴がやっときた、ああよかったな僕と君は恐れなくともロリコン
 
 俺はバートランドラッセルラ! ラッセーラッセーラッセルラッ! そんな韻律だけがようやく深夜3時の疲れマラ絞り終えたキモヲタに鳴りひびくああ自我は外部だ、ここは新つつじ通り売色タウン、新つつじ通り培植タウン
 
 やっと植えられた鬼ツヅジ、トマトジュースみたいなムラサキツヅジ、泣き喚くギンガエルが飛び跳ねて麦の音がちりちり言っている、衝動を音と言葉、そして声にしなければこころは精神にならない、僕はロリコンだ、滝のようにスペルマみたいな文字をたらしこむ、ああたらしこんだ落ち着けよ暴走するスペルマ、透明なつつじ、そして発狂した日本文化チャンネル兼日本文化センターのキャスターが髪を逆巻いてエドガワァを逆流する、それはニジマスで、キャスターの一旦は逆巻いたくろかみが河に浮いている
 
 この暴走することばは僕のスペルマではない、きみの性欲だ、きみという女の初恋の現れ、そしてからだにちからが入らないあの幽かに微かにふるふるふるえた太ももだ 履き替えたショーツが馴染んでいるかああハハオヤだ ハハオヤの黒髪は新つつじ通りの宇宙を駆け巡り首里城が大爆破

 僕の調子の波も君の調子の波、滝のように流れ込んだ11番人気3着のこのソネットは一言で言えば政治だ、しゃちほこばった八十肩がキンガエルみたいに泣き喚かない限り、ああ女子中学生だ
  
 整体に行きたいな キンガエルとギンガエルは泣き喚く、僕は僕の俺は俺のためにじぶんじしんのためにソネットを書いている、曽根さんあなたはすわりこんでただことばにならないだけだ




 こどもじだいのポルカだけ踊り続けるおそれざんチルドレン、それが18歳になり、23歳になってワタヌキが発狂死ドブ色のバイクで逆巻くギンザ通り駆け巡る新目白つつじタウン
 
 そんな新つつじ通りタウン新つつじ通り3丁目がフッサールだ、木田元Skypeで絶叫している、フッサールフッサールふさがる、フッサールフッサールふさがる、にしわきやよしおかにとおくおよばないぼくのソネット、曽根さん吉岡くん元気にしているか、一人ひとりと死んでいく新つつじ通りつつじヶ丘伝通院共同墓地、これは自動簿記ではない、ただ自分のために自分がしたことだから、自分がしたことは自分に「責任」として、「責任」のソネットとしてああ酔っぱらいが赤ら顔だ! 
 
 発狂死したまま新目白通りの昼とユウガタの境目を爆走している、暴走するサローヤンほてるの片足、泣き喚く民衆、おまえらはやはり幻影にすぎない、奴隷にすぎない覚えておけ 僕は吉岡くんだ そして曽根さんだ そしてソネットだ 奴隷だ 二十五歳をすぎた職業履歴のないダボハゼ
 
 バルトランドラッセーララップランドラッパッパー、こんな面白いアニメイションをなあぜ僕は今まで観なかった、機械・技術もいまでは気休めになる、それをあなた達そして彼らはわかっていない、メロンジュースを濃ゆくしたみたいな頭髪の自称評論家おじさんはコーヒーをがぶ飲みしておしっこを漏らすこの新つつじ通りのメロンジュース湖

第5話

利奈は疲れ果てて腰を下ろしている。
相手の不良の背中が遠ざかっていく。
「名前を……」
思わず口からこぼれた。
「名前を、教えてよ」
「名前を訊くときはだな、そっちから名乗るものだって、先生から教わらなかったか」
利奈の顔が急に火照り始めた。
「わたし、ガーディアンの、なみさかりな」
「なみさかりな、か」
相手の不良の背中はますます遠ざかっていく。
「おのイッキ、イッキは片仮名」
森の向こうに『おのイッキ』が消えていく。

利奈は疲れてしばらく立てそうになかった。
なんだか泣けてきた。

第4話

南坂利奈(なみさか りな)はさっきから【ファイア】を何発も撃っていた。
しかし相手の不良にことごとく【無効化】されていた。
(こいつ……強い!)
成り行きから不良と利奈は決闘になっていた。
公園に【結界】を張って、闘っているのである。
「社会がある」ことを認めない不登校児のこの男が利奈はちょいとばかし許せなかった。

小野イッキは【ガーディアン】の女と公園で闘っている。
そこそこ歯ごたえがありそうで、嬉しい。
この女は、自分が【レボリューター】であることを知らない。
イッキは両手を組んで雷の魔法【サンダー】を撃とうとしていた。

南坂利奈と、小野イッキ。
まだふたりは、お互いの名前を知らない。

第3話

川澄あかりの行く手には、一人の【ガーディアン】が立ちはだかっていた。
【ガーディアン】の攻撃を、川澄あかりは軽やかに回避していた。
【ガーディアン】は手を組み合わせて、攻撃魔法を撃とうとした。
炎の魔法、【ファイア】だ。
しかし川澄あかりは【ファイア】を跳ね返した。
彼女は【リフレクト・バリア】を張っていたのだ。
「くっ……」【ガーディアン】から溜息が漏れる。
川澄あかりは退屈だった。
努力もしない、何もしない、三流の【ガーディアン】の相手はまっぴらだ。
今の相手はそういった連中の中のひとりだった。
つまり「その他大勢」だった。
彼女は【ガーディアン】の男にかかと落としを食らわせた。
男は気絶した。
つまらない……。
つまらない。

第2話

小野イッキは、今日も高校をさぼっていた。
学校に行くより、街をぶらぶらしている方が何倍もうんと楽しかった。
それに、教科書を読み始めると眠くてしかたがないのだ。
「ちょっと」
小野イッキの前に、腕章をつけた少女が立ちはだかった。
栗色の髪の少女だった。
「何だよ」
「あなた、学校さぼってるでしょ」
「何だよ。【ガーディアン】」かよ
彼女は【学園都市】の治安維持組織【ガーディアン】の一員であるらしい。
「どいてくれよ。何しようが俺の勝手だろ」
「本当にそうなの。何しようがあなたの勝手なの」
「俺達は自由だろ。違うか」
「社会ってものがあるのよ」

第1話

その年は寒かった。何枚も服を着こまなければならなかった。
神谷希(かみやのぞむ)はコートに身を包み街路を歩いていた。
その年は寒かった。去年より何倍もうんと寒かった。
神谷希の心も冷えきっていた。
小説が書けないのだ。
かれは高校1年生で、新聞部の部員だった。
しかし、密かにかれは文学を志していたのだ。
しかしかれの小説は動き出さなかった。
どう表現していいかわからなかった。
神谷希は書きあぐねていた。
「神谷くん……」
神谷希の前方に、幸薄そうで小柄な少女が立ち尽くしていた。
日笠雫(ひかさ しずく)だった。
中学校以来の再会だった。