無題6

言葉と
風景が
爆ぜる

白い山並み
ぼくの生きた町
そしてぼくがもう生きない町
死んだ午後のバス通り
ロータリーには
老人が立ちすくみ

鬼のすみかは何処へやら
鬼も大人ももうおらず
社会がなく
世間も成り立たず
白い稜線だけが
空っぽの駅前広場を見守っていて

いつか夏の風景
祭りの風景を
ひそかに希求し
神輿が
浴衣が
夏の陰影が
やがては
ゆらゆらと
僻地の夏を強調する

鬼のすみかは
有名無実
ふたつの神社は崩壊し
神も精霊もおしゃか
ただ
無限に
広がる
山並み

山の音が
山の音が
かすかに
川を徐行し
それが
儚い
夢となって
夢の音楽となって

せめて
生まれ来る子供たちに幸福を

僕が殺した町
転生するその風景