無題4

僕の生まれた町は
鬼のすみか
民度の低い町
青い顔をした
大人たちが
老人たちが
ゆらゆら

駅前に
亡霊が闊歩し
まるで猫町
透明な鬼の群れが
渡り歩く駅前道路

その駅前ロータリーには
音楽すら響かずに
小学生と
中学生だけが
ぶらぶら
しどけない空
しどけない雲

美容院と
ひなびた喫茶店
ひなびた窓辺に
僕は死んでいった猫の亡霊を

鬼は外
鬼は外
鬼の町は昔のいわれ
いまは白い山並みに
誰も分け入らず
分け入っても
空虚で
空疎

僕が捨てた町