大井競馬を呪い殺す

大井競馬の夜……。
私は、もう来ることはないだろう。
予想屋と喧嘩してはいないのだが。

空港から逃げてきた私は、
馬糞の匂いに紛れる。
あの、
自動筆記に溺れていた3月。
ブルトンばかり耽読していた。
罪、
恥……。

馬糞にまみれ、
私はパドックに転がり込む。
そして馬場に。
大井競馬の時計塔という灯台のカクテル光線が、
衆愚を照らしている。
その中に予想屋と新聞屋も含まれている。

駄馬は、含まれていない。