図書館(A)

岩田宏を読んだ。
傍らには、美しい女子大生。
それと、しどけない大学生、その他大勢。

図書館にアリストテレスが鎮座ましまし、
それにしどけない日本人学者の本も。
鷹揚であらんことを、
鷹揚であらんことを、
ひそむ古(いにしえ)の随筆家たちも。

岩田宏を僕は読む。
手前の女子大生は何を読んでいるか。
それは、きっと、
他人の携帯を望むような「罪」で。

大井競馬を呪い殺す

大井競馬の夜……。
私は、もう来ることはないだろう。
予想屋と喧嘩してはいないのだが。

空港から逃げてきた私は、
馬糞の匂いに紛れる。
あの、
自動筆記に溺れていた3月。
ブルトンばかり耽読していた。
罪、
恥……。

馬糞にまみれ、
私はパドックに転がり込む。
そして馬場に。
大井競馬の時計塔という灯台のカクテル光線が、
衆愚を照らしている。
その中に予想屋と新聞屋も含まれている。

駄馬は、含まれていない。

タイムトーク

走りだせ……、
時の銀河、そう、麦畑に。
冬の麦畑も、
夏の麦畑も、
等しく鷹揚。

日々を認める。
あの「夜のライトマーチ」と、
原稿用紙に書き付けた夜。
麦畑は追憶。
音楽は麦畑。
それは、死んでいった同級生の韻律。
永遠の転生。
永遠の生命。

それが、きずみ山。